あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。
すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
一気読み必至の著者最高傑作。
ファンタジーとリアルが絶妙に混ざり合う設定。かなりの長編です。
また、不登校の中学生が主人公なので、感情移入できるのか、読み始めは心配でした。
大人でも理解できる、ていねいな感情描写で上手く入っていけました。
思い返してみれば中学時代ってかなり理不尽な時代。野生がむき出しになる時期です。
感受性が強い人ほど身を守るすべも持てずにさらされ、耐えるのが難しいでしょう。
そんな色々な理由で不登校になっている子どもたちが登場人物です。
ある日開いた鏡の中の世界で7人の少年少女たちが出会います。
それぞれの物語がミステリーを交え徐々に紐解かれていきます。
序盤・中盤でしっかり惹きつけられ後半への展開も相変わらずで目が離せませんでした。
自分では子供の頃は物事を深く考えていなかったので、全体に大人びた感じがしました。
物語は、リアルの世界のいじめの悲愴感や不登校の問題をテーマにした物でも無く、
ファンタジーやミステリーとして限定される物でも無いように思います。
ファンタジーの違う世界だとしても、信頼できる仲間がいるだけで人は強くなるものです。
同じ出来事でも笑い話になります。そばに誰かがいる、というのはそういうことなのです。
信頼できる仲間が必ずいると信じて人生を歩んでいくことが人にとって支えになるのです。
生きるということを、少年少女の視点から考えさせてくれる物語でした。
ラストは泣ける展開でした。今回も最後は思わず涙ぐんでしまいました。
「かがみの孤城」辻村深月さんの本屋大賞受賞作。素晴らしい小説でした。

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