装画はミヤタジロウ。装丁は片岡忠彦。初出「野性時代」。短編集。
十一月七日を繰り返す女子大生。屋敷から出られない青年。
幽閉され幻術を強制される女―。
「牢獄」をテーマにそれぞれ異なるアプローチ。
時間、場所、人のエゴに閉じ込められた三人の物語です。
「秋の牢獄」の、リセットされる一日を続けさせられる苦痛と孤独感。
「神家没落」の、脱出後に戻りたくなる心境の変化。
「幻は夜に成長する」の、異能の哀しみと恨みの深さ。
ふと迷い込んでしまいそうな別世界の怖さ、不思議さを
簡潔で端整な文章が描き出し引き込まれます。
読みやすさと豊潤なイメージに魅了されました。
捕らわれた空間の意外な居心地の良さや、
描かれる鮮やかなビジョンに不思議と愛着や懐かしさを感じられたりもします。
本当に怖いのは人の悪意と気づかされたりしました。
そしてマンゴー芋を食べたくなりました(危険!笑)。
関連情報 恒川光太郎の読了本
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夜市 恒川光太郎雷の季節の終わりに 恒川光太郎秋の牢獄恒川 光太郎
秋の牢獄 上 (大活字文庫 139)恒川 光太郎
秋の牢獄 下 (大活字文庫 139)恒川 光太郎
秋の牢獄 (角川ホラー文庫)恒川 光太郎

秋の牢獄 恒川光太郎
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誰の心にも異界は存在する。人それぞれの心の奥底には、人それぞれの異界がある。それはもしかしたら幻、と呼ばれる類のものなのかもしれないし、心のちょっとした屈折が織りなす、錯覚の一種、なのかもしれない。作家「恒川光太郎」は彼のまだ数少ない作品群....
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「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の短編3話。
もうすっかり冬ですが恒川さんの新作『秋の牢獄』です。角川の野性時代に掲載されていた短編が三本収められています。共通したテーマはあるけれども、ちょっと趣の異なる作品群でした。タイトルにもある「牢獄」。もちろんそのままじゃなくて、日常の中にふと現れた異界の..
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先が知りたくて一気に読んでしまった。 「秋の牢獄」。まさに。いつまで経っても11月7日から逃れられない。終わらない一日。昔読んだ北村薫氏の「ターン」を思い出した。 何度も何度も、同じ日を繰り返す。一体なんのためなのか? 理由は分からない。いつか11月8日を
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背後を、闇を纏った「何か」が通り抜けたような、密やかな悪寒がした。・・・これは、本当のホラーだ。ホラーだけれど、ただ恐怖を煽るというのではなく、しんしんと降りつもる仄かな寂しさを湛え、「ひと」の心を静かな暗がりに捕えて離さない。・・・何をカッコつけてるの
秋の牢獄恒川 光太郎 角川書店 2007-11売り上げランキング : 4845Amazonで詳しく見る by G-Tools内容説明女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。彼女は何のためにこの日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に
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秋の牢獄恒川 光太郎 (2007/11)角川書店この商品の詳細を見る<明日という希望がなくなる絶望>この作品は、恒川さんの三作目。独特の異次元空間と文章が実に綺麗で、一作目の『夜光』からのお気に入りです。二作目は未
ぼくたちの本体はとっくに先に進んでいて、ぼくたちは本体が、十一月七日に脱ぎ捨てていった影みたいなものじゃないのか。世界は毎日、先へ進むたびに、その時間に影を捨てていくのかもしれない。 (「秋の牢獄」より)
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秋の牢獄
恒川 光太郎 2007/10/31発行 角川書店 P.223 ¥1,470
★★★★★
私はもう充分に、楽しんだし、悲しんだし、苦しんだのだ。一人でいたかった。
~『秋の牢獄』より~
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秋の牢獄posted with amazlet on 08.03.13 恒川 光
**************************************************************** 十一月七日、水曜日。女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を 何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。 朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は 何のた
表題作「秋の牢獄」と「神家没落」「幻は夜に成長する」の3つの短編が収められた作品集である。デビュー作『夜市』(「風の古道」併録)、二作目『雷の季節の終わりに』と同じように、すぐ隣にある異世界をモチーフに添えて・・・むむむ?「幻は夜に成長する」は現実社...
秋の牢獄
■やぎっちょ読書感想文
迷い込む異界と日常化
恒川さん「夜市」に続き2冊目。「夜市」収録の2編とこの「秋の牢獄」3編中2編が迷い込む異世界を舞台に進みます。
夜の市、古道、そして「秋の牢獄」では繰り返される11月7日。「神家没落」では移動する古
秋の牢獄 恒川光太郎著
雨の音で目を覚まし、耳を傾け至福を感ずる朝のひと時。変わり無い一日を終え、迎えた翌日は、昨日とどこも変わり...
「夜市」ホラー小説というわりには、ファンタジーっぽくて、和風というか古風な味わいがあり、どこか懐かしさを感じる小説でした。
これは十一月七日の水曜日の物語りだ
永遠に繰り返される一日
自分以外はまったく同じ日々を送っている
その中で何回もの十一月七日を過ごし生きていかなくてはならない
眠る時の期待と、目覚めた時の失望
そんなコトに慣れた頃に主人公の藍は自分と同じ時間をく...
秋の牢獄恒川 光太郎 角川書店 2007-11by G-Tools
「夜市」がとってもよかった恒川さんの新刊です。
これも幻想的な雰囲気に釣り込まれる物語3...
―内容(「BOOK」データベースより)―
十一月七日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になればすべてがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。...
1話目より2話目、2話目より3話目の方が心に残りました。
しかし、1番好きだったのは2話目の「神家没落」かな?
ミステリータッチでしたので、一番スッと物語に入り込めたような気がしました。