十歳で失踪した水の精のような大好きな母は三年後に戻った時「男」になっていた。
そこから決して癒えることのない深い傷を隠して陽気に振る舞い、
自分の感情を殺して生きるようになったシルビオ。
憎悪していたヘルマフロディテ(真性半陰陽=両性具有者)の大学教授ゼータに
人に言えない悪癖を見つかり、弱みを握られ期限までに三つの課題の提示を求められます。
「真実ではなく、真実として感じさせてくれる途方もないおとぎばなし」を求める教授に
シルビオは「物語」を上梓できるのか。
教授が最初に命じたのはナポリに住む女装者やトランスセクシャルたちへのインタビュー。
自分の殻に亀裂が入って。
ショッキングな始まりです。この内容、読み終えられるかどうか不安でした。
映画「オール・アバウト・マイ・マザー」を見てたので、少しは抵抗が薄らいだみたいです。
母の行動、抑えきれない衝動。
不可解な謎を追いかけながら、ナポリの「女になった男たち」の起源を探っていく過程を
読んでいきました。
神話や伝承、伝聞を元にシルビオが紡ぎ出していく物語は加熱。
幻想的で官能的な展開の第三楽章。鮮烈で圧倒されてめまいがするほどでした。
続く第四楽章はこの方向からって驚き。第五楽章で謎の解明もあります。
短い中に濃密に凝縮された世界に十分な読み応え。
締め括りであたたかい気持ちになりました。
たったひとつの、かけがえのない物語を持っている愛おしいからだといのちについて、
考えてみたくなる素晴らしい物語でした。
ヘルマフロディテの体温ヘルマフロディテの体温
(2008/04/03)
小島 てるみ

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ヘルマフロディテの体温 小島てるみ
2008.07.10 Thu l 他・か行の作家 l コメント (4) トラックバック (2) l top

コメント

連夜のこんばんはー(笑)
あの前半の展開で拒否反応を示さないかと実はひやひやしておりました(汗)。
デビュー作でこんなにインパクトがあり濃厚で強烈な物語を作れる作家さんなんてそうそういません。
これからもこんなめまいがするほどの物語を作り続けて欲しいです!
2008.07.10 Thu l リベ. URL l 編集
リベさん、連夜のこんばんはー(私もしちゃいました、笑)。
始めは危なかったです。でも他ならぬリベさんのなので辛抱強く、でした(笑)。
小島さん、デビュー作でこの完成度、すごい才能ですよね。
これからの作品も注目です。
2008.07.13 Sun l 藍色. URL l 編集
あけましておめでとうございます。
年の瀬のお忙しい折、ご丁寧にご返信くださり、ありがとうございました。
読んでから時間が経っていて細部は忘れてしまったんですが、
個人的には、なぜかとっても瑞々しく誠実なメージとして記憶に残っている作品です。
豊穣な世界でした〜。
2009.01.02 Fri l susu. URL l 編集
susuさん、あけましておめでとうございます。
早速のご返信、ありがとうございます。
やっぱり細部は薄れますよね。
瑞々しく誠実な筆致が印象的でした。
これからも、どうぞよろしくお願い致します。
2009.01.04 Sun l 藍色. URL l 編集

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